医療法人社団ブレイン・コンシェルジュ
おちあい脳クリニック

 
 
 
 
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さいたま市桜区田島5−13−16

背景

てんかんは、発生率約1%と言われる一般的病気です。最近の疫学調査は60歳から発生率が増える病気であることがわかりました(下図左)。これには脳の老化が関係していると言われ、幼少期の発作メカニズムとは異なる機序が考えられています。適切な診断を行い早期に治療介入すれば約64%が発作消失したと言うデータもあります(下図右)。従って、全身性の発作のみならず、意識消失などが繰り返し起こるようであれば早期の専門医受診をお勧めいたします。


 てんかんとは?

誘因なく脳波異常から始まり、それに続いて意識消失や全身性症状が起こることが、複数回生じる病気で、時に発作中強く噛むことで口腔内裂創が出来たり、十分な呼吸が出来ないことで唇が紫色になったりします。通常の発作は3分以内(実際は長く感じる)のことが多く、意識が回復するまで数時間要する場合もあります。1回で終わる場合がほとんどですが、同日複数回起こることもあり、その場合は救急車を要請する必要があります。


てんかんの診断は?

外来では、下図に示す通り「てんかんの実用的臨床定義」に則り診断を行います。つまり、1回の発作で脳波・MRIで発作を説明しうる優位な所見がない場合は、「てんかん」と診断せず経過観察とします。1回の発作でも発作を説明しうる優位な所見が認められれば「てんかん」と診断し投薬開始します。2回目の発作が起これば、脳波・MRIで発作を説明しうる優位な所見がなくても「てんかん」と診断し投薬開始します。


てんかん分類

いつ、どのような状況で症状が起こったのかと言う点は覚えていても、実際の症状がどうだったのか(例えば、首はどちらを向いたのか?手は挙上したのか?左右に違いはあったのか?、意識があったのか?、発作時間はどれ位続いたのか?、発作後の症状はどうだったのか?などなど)を詳細に覚えている方は多くありません。しかし、これらの情報が診断に役立つ有用な情報となります。脳波検査中に発作が起これば、どの部位で脳波異常が始まり、どのよう広がっていったのか把握出来ますが、検査中の発作捕促は臨床では困難なため、非発作時脳波と、頭部MRI、発作時の状況から総合的に判断して、てんかんかどうか診断します。その診断を踏まえ適切な治療を行います。1回の検査で全て病態把握が出来ないことが多いため、検査を継続し、複数回検査を継続する中で(発作が起きなくても)脳波異常が捉えられれば、診断に結びつけることが出来ます。


てんかん治療は発作をなくすこと?それとも脳波を正常化すること?

臨床では「発作をなくすこと」が治療のゴールになります。しかしてんかん治療の最終ゴールは、「てんかん患者の生活の質(QOL)の向上」と考えます。発作が消失しても、脳波異常が残存すれば、小児の場合は発達障害の回復が遅れたり、成人の場合はイライラ感など精神症状の不安定につながる場合があり、そのため極力脳波の正常化を目指すべきと考えております。


初めて意識消失など痙攣様の症状を起こした方

初発発作が起こった場合の再発リスクは40~52%、2回発作が起こった場合の3回目の発作は確率は73%との報告があります。そのため、初回発作は経過観察とし、2回発作が起こった時から内服治療が積極的に行われる傾向にありました。しかし、発作回数だけで治療開始時期を判断するのは適切ではないため、各発作に対しこれまでのデータから重み付けがなされるようになりました。その結果、初回の発作であったとしても、MRI上異常があったり、脳波異常があったり、高齢者であったりした場合は積極的に内服治療が開始することが勧められ、発作が起こったこと以外に脳波、MRIで異常がなかった場合は、2回目の発作で治療を開始する従来通りの治療方針が勧められるようになりました。


最近話題の「高齢者てんかん」とは?

めまいのような非特異的症状や意識朦朧、健忘などと行ったこれまで認知症の症状と思われていた中に、脳波異常を伴う「てんかん」が含まれていることが分かってきました。また、昨今の高齢化社会と相まって、意識朦朧、健忘などが実は「てんかん」による症状であれば、「認知症」と違い治療により症状の改善が見込まれるものとして脚光を浴びるようになりました。


高齢者てんかんの特徴は

  • てんかんの有病率はおよそ1%と言われるが、65歳で1%を越え、80歳で2%程度になる。
  • てんかんの原因は14歳以下では先天性が60%を越えるが、65歳以上では脳血管障害が60%を越える
  • 発作タイプは、意識消失を伴う焦点性発作(FIAS)が多く発作後もうろう状態が長く続くのが特徴(認知症の症状に類似)
  • 発作起始は側頭葉由来が多い
  • 成人に比べ内服治療に良好に反応し投与量も少量で効果的であることが多い
  • アルツハイマー型認知症の約10%がてんかん症状を伴っており、てんかんを伴う認知症患者は伴わない患者に比べ認知機能低下が早期に出現
  • 高齢者は若年に比べ3〜10倍痙攣重積が多く、逆に痙攣重積の25~50%が高齢者による重積
  • 痙攣重積にによる死亡率は1.9~40%で、その中で高齢者による死亡率が高い

以上の高齢者てんかんの特徴が明なになっているため、服薬管理・内服指導を行っております。 


 
トランジション(成長のため小児科から成人診療科へ) 
 
 
検査
 脳波並びに長時間脳波
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治療法
・内服調整
・外科治療
 
 
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