経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)とは
磁気パルスを用いて、頭皮上から脳表を刺激する装置です。頭皮/頭髪にあてた「8の字」コイルより刺激を与えるため、また連続刺激が可能な装置のため、「経頭蓋磁気刺激療法 rTMS:repetitive transcranial magnetic stimulation」と言われます。
磁気パルス刺激が直下3−4cmまで及ぶと言われており、その深さの位置が脳表にあたります。従って、脳深部への刺激は出来ません。
この特性を利用し、非侵襲的に、痛みを伴わずに様々の疾患に対し、ニューロモジュレーション(神経調節)を期待する治療法です。
当クリニックで行っている疾患
当クリニックでは、下記の疾患に対して積極的に磁気刺激療法を行っております。
ご相談下さい。
・パーキンソン病
・ジストニア
・てんかん
・脳卒中後片麻痺
・難治性疼痛
・うつ病(最近問い合わせが多くなりました!)
など
<今後予定しているもの>
・(難治性)頭痛
・(一部)認知症
・脊髄小脳変性症などの難病
・(発症間もないもの)失語症
など
刺激前の左足の挙上です(写真中)。
約20分後、磁気刺激施行後の左足の挙上です(写真右)。
磁気刺激療法の実際
・麻酔は用いません。
・痛みはありません。
・着替えの必要はありません。
・入院の必要もなく外来で可能です。
当クリニックのスタンス <重要>
当クリニックで使用している経頭蓋磁気刺激装置は医療機器承認を受けた機械です(英国マグスティム社製)。しかし保険上その用途は、中枢神経刺激の誘発筋電図としての検査機器に限られており、当クリニックでも応用しているようなニューロモジュレーションを期待した治療への応用は認めておりません。そのため多くの医院/病院は、保険請求を行わないか、もしくは自由診療にて施術してるところが多いように感じます。
保険収載がまだ認められていないとは言え、効果に関しては下記に示すように多くの医学論文でも報告されており、当クリニックで施術した患者の中にも恩恵を受けられている方もいらっしゃいます(もちろん全てではありません。)
当クリニックのスタンスとしては、保険収載がまだ認められていないため積極的に進めているわけでもなく、また厳格な基準がありその基準に満たしていなければ磁気刺激を行わないというものでもありません。
これまでの経験から(毎日磁気刺激は行っております)、効果や方法、刺激頻度、または合併症などを外来にてインフォームドコンセントを行い納得頂ければ行う段取りを取っています。
また当クリニックの特徴として、MRIが融通をもって使用可能ですので、刺激部位の確認や磁気刺激継続に伴う変化を、安全性の面から随時確認ながら行っております。
<パーキンソン病に対する磁気刺激の論文>
Intracortical inhibition and facilitation are impaired in patients with early Parkinson's disease: a paired TMS study.
Bares M, Kanovský P, Klajblová H, Rektor I.
Eur J Neurol. 2003 Jul;10(4):385-9.
<ジストニアに対する磁気刺激の論文>
Modulatory effects of 5Hz rTMS over the primary somatosensory cortex in focal dystonia--an fMRI-TMS study.
Schneider SA, Pleger B, Draganski B, Cordivari C, Rothwell JC, Bhatia KP, Dolan RJ.
Mov Disord. 2010 Jan 15;25(1):76-83.
<脳卒中後麻痺に対する磁気刺激の論文>
Reliability of TMS motor evoked potentials in quadriceps of subjects with chronic hemiparesis after stroke.
Wheaton LA, Villagra F, Hanley DF, Macko RF, Forrester LW.
J Neurol Sci. 2009 Jan 15;276(1-2):115-7. Epub 2008 Oct 22.
<うつ病に対する磁気刺激の論文>
Identifying brain imaging correlates of clinical response to repetitive transcranial magnetic stimulation (rTMS) in major depression.
Hernández-Ribas R, Deus J, Pujol J, Segalàs C, Vallejo J, Menchón JM, Cardoner N, Soriano-Mas C.
Brain Stimul. 2012 Feb 22.
<てんかんに対する磁気刺激の論文>
Motor cortex excitability in focal epilepsies not including the primary motor area--a TMS study.
Hamer HM, Reis J, Mueller HH, Knake S, Overhof M, Oertel WH, Rosenow F.
Brain. 2005 Apr;128(Pt 4):811-8. Epub 2005 Feb 23.
<痛み対する磁気刺激の論文>
Changes to somatosensory detection and pain thresholds following high frequency repetitive TMS of the motor cortex in individuals suffering from chronic pain.
Johnson S, Summers J, Pridmore S.
Pain. 2006 Jul;123(1-2):187-92. Epub 2006 Apr 17.
患者様の声
脳卒中後片麻痺の患者さん
固まっていた右手が開くようになった
リハビリの先生から、「リハビリだけではここまでよくはならなかった」と言われた
パーキンソン病の患者さん
実施直後より歩行の改善
翌日、ふるえ・固縮が改善されて2週間くらい続く
ジストニアの患者さん
左に向くことが難しかったが数時間後簡単に左を向けるようになった
歩行の改善もした
てんかん患者のお母様談
表情・感情が豊かになった
てんかんの患者さん
10日に1回程度あった大きな発作が2ヶ月に1回になった。
パーキンソン病の患者さん
聞こえやすい声で明るくよくしゃべるようになった
脳卒中後片麻痺と視床痛の患者さん
麻痺足が動かしやすくなった
痛みも軽減
脳卒中後視床痛の患者さん
ペインビジョン
実施前591 実施直後436
脳卒中後視床痛の患者さん
ペインビジョン
実施前2116 実施直後1124